四百年の恋

 「大村さん、ちょっと……」


 突然の展開に、清水はただ驚くのみだった。


 「一人は怖いの。永遠に続く闇の中……」


 美月姫は無意識のうちに言葉をつぶやいていた。


 清水の胸の中に顔を埋めて。


 美月姫は女子の平均身長よりちょっと高いくらいの背だったが、清水はそれよりさらに10センチ近く高いので、ちょうどよい位置だった。


 「怖かったんだね」


 清水はようやく落ち着いて、美月姫の髪を撫でながら、なだめるようにささやいた。


 「大村さんって、姫みたい」


 「……」


 「姫もさ、あの時の恐怖でトラウマになっているようで。最初の頃俺がいないとすごく不安がっていたの。俺の姿見るたびに、駆け寄って来てさ」


 取り乱している美月姫の耳に、果たして自分の言葉が届いているのか微妙だったが、清水は語り続けた。


 「俺はどこにもいかないのに、そんなに怯えなくてもいいよってどんなに言い聞かせても、姫は分かってくれなくて、ずっと震えているの」


 「……」


 「ウサギだから言葉が通じない切なさもあるけどね。こんなふうに抱きしめて、気持ちを伝えることしかできないんだ」


 清水の言葉がその耳に届いているのか、いないのか。


 美月姫は清水の胸の中で震え続けていた。