四百年の恋

 「大村さん、灯りになるもの持ってる?」


 「それが……。携帯のバッテリー切れちゃって」


 「そっか。俺は携帯、ホテルに置いてきちゃったんだよね」


 外部とは連絡できない状態に変わりはない。


 来た道を戻って、水源地の外に出るか。


 はぐれた仲間たちを一刻も早く見つけるか。


 通りすがりの人に携帯を借りて、仲間たちに連絡をするという方法もある。


 何とかしない限り、闇を抜け出せない。


 相変わらずの白い闇。


 橋を降りると、再び水源地周辺を取り囲む森が拡がる。


 足元が若干濡れていたので、気をつけて歩いていた美月姫は、一歩先を行く清水と差がついてしまった。


 カーブを曲がると、清水の姿は木々に隠されて見えなくなった。


 (うそ……!)


 美月姫はまた、一人で深い森の奥に取り残されたような錯覚に陥る。


 「待って!」


 慌てて後を追う。


 美月姫も急いでカーブを曲がり、清水に追いつこうとした時。


 「離れちゃだめだって、言ったでしょ」


 清水は待っていてくれた。


 「……? どしたの、大村さん」


 清水は美月姫の様子がおかしいのに気が付いた。


 「……置いていかないで」


 「置いていくわけ、ないでしょ。だからこうやって待っていたのに」


 「私を一人にしないでください。……冬悟(とうご)さま」


 「え?」


 美月姫は無意識に清水に抱きついていた。