四百年の恋

 「そう。時代劇のコスプレかと最初思ったくらいに、その男の人って何となく清水くんに似ていて、見間違ったくらい」


 「実はさ、俺も変な女の人に会ったんだ。着物姿で、一瞬幽霊かと思った。それがまた、大村さんに似ていた」


 「えっ、私に?」


 「大村さんっていっつもメガネ姿だから、すぐには分からなかったんだけど。今こうしてコンタクトの大村さんを改めて見ると、やはり瓜二つだったって実感する」


 「……」


 「その人が、迷路のようなこの場所からの抜け道を教えてくれた。そしたら大村さんと遭遇したってわけ」


 「いったいどういうこと?」


 それぞれが偶然同時に迷子となり。


 互いにそっくりな人物に遭遇し、深い霧の中から救い出してくれて。


 こうして再開することができた。


 「それにしてもすごい偶然だね。お互い似たような体験をしたなんて」


 「ほんとに……」


 二人は南側に広がる水源地を眺めた。


 霧は若干薄くなってきたようで、時折空には満月の輪郭が見える。


 「戻ろう。みんな心配しているから」


 「そうね……」


 美月姫は清水の後ろを歩き始めた。