四百年の恋

 「だからいつも申しているであろう? お転婆も度が過ぎると、痛い目に遭うと」


 「……?」


 「ここは箱庭のような場所ではあるが、夜に迷い込むと抜けられないような広大な場所に感じる。さあ」


 清水に似た、時代劇に出てくる若殿のような人は、美月姫に手を差し伸べた。


 「あなたは?」


 清水に似ているからだろうか。


 美月姫はわけもなく懐かしく感じた。


 迷いもなくその手を取った。


 「あなたは誰? どうしてそんな格好でここに」


 美月姫は思わず尋ねた。


 「姫が暗闇の中、途方に暮れているから、助けに来たのだ」


 「姫……?」


 声まで清水くんに似ている。


 美月姫はふと考えた。


 「姫」と優しく、あのウサギを呼ぶ時の声に。


 「ねえ、あなたの名前は? どうして私を姫と呼ぶの?」


 「それは、」


 彼は何かを告げようとして、口を閉ざした。


 「それは姫自身で、答えを探し出してゆく問題だ」


 「え?」


 「間もなく月の光が再び、この地を照らす。私の役目もここまでだ」


 「どういうこと? あなたは……!」


 美月姫の問いかけを待つ間もなく、彼は白い闇の中に消えていった。