四百年の恋

 「ふーん。まあいいや。来週の札幌行きに関して、これから相談しようと思うんだけど」


 清水は美月姫に対して話しかけてくる。


 その清水の背後には、クラスの男子数人が待機している。


 「これからうちで集まろうって話なんだけど、みんなも一緒に来ない?」


 「えっ、私たちはもう帰……」


 「行く行くー!」


 美月姫はもう帰るつもりだったのに、友人たちに押し切られて、グループで清水の家に行くことになった。


 いや、正確には清水の自宅ではなく、


 「まあ、いらっしゃい」


 「お邪魔します……」


 清水の世話係であり、丸山乱雪の北海道事務所勤務の、水上の自宅だった。


 清水の自宅マンションから数分のところに、水上の一軒家はある。


 庭が広いので、日曜大工で製作したらしい丸太の椅子やテーブルまでも置かれている。


 美月姫たちがその辺りに座ると、水上の妻が全員分の麦茶とお菓子を運んで来てくれた。


 こんな大人数で押しかけて、いくら何でも迷惑じゃないのかなと美月姫は危惧したのだけど。


 「水上家には子供がいないから、俺が友達連れて遊びに行くと嬉しいみたいだよ」


 しかし水上は仕事中なので、応対してくれたのは水上の奥さん。


 とても優しそうな人だった。