四百年の恋

 「は? 俺は昔から真面目ですけど?」


 「そういえば圭介って部活ばっかりやってて、部活の後は遊んでばっかりいて、全然勉強してなさそうで、それでいて授業にはちゃんと出てたよな」


 「それより意外なのは、女に不自由してなかったお前が、未だに独身を貫いているとは。それほど元カノに……」


 ビールの量が増すに連れて、誰もが気が大きくなっていた。


 日頃は気を遣って、誰もが触れないようにしている圭介の昔の傷に、うっかり触れてしまった。


 言った当人も、周囲で聞いていた連中も、酔いを忘れて顔色が変わる。


 「おいおい、気にすんなって。もう昔の話だから」


 凍りついた表情をしている周囲。


 本当は忘れたことなどないくせに、圭介はとっくに忘れた自分を演じる。


 「そ、それなら安心だけど」


 圭介の過去は吹っ切ったような演技に周囲は安心し、ようやく笑顔を取り戻す。


 「今のお前からは想像つかないくらい、ベタ惚れだったよな。あの頃」


 思い出話が始まった。


 あの頃。


 若かった圭介は、真姫が好きで好きでたまらなくて。


 人目も気にせず、ひたすら愛を注いでいた。


 生徒たちにその頃のことを知られると、何と言ってからかわれるだろうか。


 (絶対知られないようにしなくては)


 誓いを新たにする。