「な、何……?」
ますます視界は揺らめき、夢か現実かが分からない。
ただ福山の腕の中は、非常に居心地がよく。
そして肩越しに輝く中秋の名月は、とても綺麗で。
耳元で囁かれる声は、やたら懐かしく。
「姫をひたすら待っていた。遠い昔からずっと……」
そして甘かった。
「姫。姫をもう一度抱きしめられるなら、再び孤独な眠りに引き戻されようとも構わぬ……」
「福山く、」
福山が何を言っているのか理解できず、問い返そうとした時。
不意に唇を重ねられた。
「……」
突然重ねられた唇。
驚きを隠せなかったものの、突き飛ばして逃げようとは思わなかった。
むしろこのままずっと、こうしていたい気持ちに埋め尽くされていた。
重なる唇も、また懐かしく甘いもので……。
キスがこんなに心地よいものだとは、知らずにいた。
甘く優しく、そして懐かしく……。
このまま深い眠りに落ちていきたい。
(初めてのキスが、好きな人とで本当によかった)
頭の片隅で、ふとそんなことを考える。
(好きな人?)
自分の意識と自問自答する。
(そうだったんだ。私は福山くんが好きなんだ)
漠然と認識する。
(いつから?)
きっかけが思い出せない。
(そうだ……。ずっと前から。ずっと前……?)
それがいつなのか思い出そうとした途端。
真姫は深い眠りの底に突き落とされた。
ますます視界は揺らめき、夢か現実かが分からない。
ただ福山の腕の中は、非常に居心地がよく。
そして肩越しに輝く中秋の名月は、とても綺麗で。
耳元で囁かれる声は、やたら懐かしく。
「姫をひたすら待っていた。遠い昔からずっと……」
そして甘かった。
「姫。姫をもう一度抱きしめられるなら、再び孤独な眠りに引き戻されようとも構わぬ……」
「福山く、」
福山が何を言っているのか理解できず、問い返そうとした時。
不意に唇を重ねられた。
「……」
突然重ねられた唇。
驚きを隠せなかったものの、突き飛ばして逃げようとは思わなかった。
むしろこのままずっと、こうしていたい気持ちに埋め尽くされていた。
重なる唇も、また懐かしく甘いもので……。
キスがこんなに心地よいものだとは、知らずにいた。
甘く優しく、そして懐かしく……。
このまま深い眠りに落ちていきたい。
(初めてのキスが、好きな人とで本当によかった)
頭の片隅で、ふとそんなことを考える。
(好きな人?)
自分の意識と自問自答する。
(そうだったんだ。私は福山くんが好きなんだ)
漠然と認識する。
(いつから?)
きっかけが思い出せない。
(そうだ……。ずっと前から。ずっと前……?)
それがいつなのか思い出そうとした途端。
真姫は深い眠りの底に突き落とされた。



