四百年の恋

***


 コンコン……。


 教室のドアがノックされた。


 「どうぞ」


 圭介が声をかけるとドアが開き、まず清水が入ってきた。


 「失礼しまーす」


 彼に続いて、学校という場には不似合いなほどに高級そうなスーツを身にまとった、ゴージャスな女性が入って来た。


 清水の母親だ。


 年齢は40過ぎくらいだろうか。


 圭介よりはちょっと上と思われる。


 地域ナンバーワンのキャバレーのママとして、店を取り仕切っている凄腕の女性。


 そして……丸山幹事長の昔からの愛人。


 一歩間違えば政権を転覆させるくらいの大スキャンダルにもかかわらず、丸山乱雪の権力を恐れたマスコミは、見て見ぬふりを続けている。


 「……私の力で、望みうる限り最高級の教育を、受けさせなければなりませんので」


 清水の母は言い切った。


 「中学進学の段階で、この街で最も優秀勝伝統ある聖ハリストスへの進学を決めました。大学も同じ理由で選びます」


 どこを受験したいのかと圭介が尋ねたところ、清水の母は「優秀な大学であればどこでもいい」といったような答えだった。