四百年の恋

 「おっとそろそろ戻らなくちゃ。委員長さんに怒られる」


 清水は席を立った。


 委員長とは美月姫のことだ。


 「そういえば聞くの忘れていたけど、ウサギは元気か」


 圭介は清水を呼び止めた。


 「うん、水上の家でだいぶ元気になったよ」


 「水上って、お前の執事みたいなやつか」


 「そう。父さんのこっちの事務所の人なんだけど、俺の面倒を見るのを頼まれている人」


 清水の父親、丸山乱雪はこの辺りを地盤とする衆議院議員で与党幹事長。


 自宅は東京にあり、地元入りするのは後援者たちとの会合の時やイベントがある際、そして選挙の時期。


 地元事務所で留守を守るメンバーの一人が水上で、息子である優雅の世話係を兼ねているようだ。


 清水が「姫」と名づけ、一匹だけ生き残ったウサギは、襲撃された際の衝撃が強かったようで、小屋に戻りたがらず。


 清水がそのまま自宅へと連れて帰ってしまった。


 だが清水の自宅マンションでは飼育不可能だったため、近所に住んでいる水上が預かることになったのだ。


 「近所だから、いつでも会いにいけるしね」


 水上は清水母子の元に、何かあった際はすぐに駆けつけられるように、近所に住居を構えているようだ。