四百年の恋

 「ご子息をボロ車に乗せているとあっては、丸山先生の名声にも傷が付きます。さあ、今日は夕方五時半から会食です。奥様もお待ちですゆえ、早くお車に」


 「分かったってば!」


 散々ゴネた後、結局清水は車に乗り込んでいった。


 そして勢いよく、高級国産車は発車していった……。


 「すごい車に、運転手付き。従者みたいな人までいるんだね……」


 一緒に帰宅途中だった友人が、一連の清水の行動を振り返りながらつぶやいた。


 「今、丸山乱雪は、こっちで行事があるため地元に戻っているらしいよ。そのついでに、愛人とその子供、つまり清水くんと親子水入らずかな」


 「丸山乱雪の本妻は……?」


 美月姫は尋ねた。


 「東京の本宅でしょ。清水くんのお母さんが、現地妻みたいなやつかな?」


 現地妻。


 「私たちの紅陽学園、私立なこともあって結構金持ちだらけだけど。清水くんって特別って感じがするな。金だけある家は他にもあるだろうけど、清水くんの所は別」


 美月姫の家は、サラリーマンの家庭。


 比較的裕福な部類ではあるが、ここ宝来学園では普通いや平均以下の部類に含まれるかもしれない。


 美月姫も周囲同様……清水のことは遠い存在に感じていた。