四百年の恋

 それから圭介は、福山家の遺物が展示されているゾーンへと移動。


 冬雅やその一族、家臣たち愛用の着物や身の回り品、日用品や刀などをガラス越しに数多く見学することができる。


 一際豪華なのは、冬雅前半生の品々。


 年月の経過により、かなり色褪せてしまってはいるが。


 豪勢さや華麗さは、時を越えて伝わってくる。


 冬雅が京の都から取り寄せて、側室に与えた着物や装飾品もある。


 (側室とは、月光姫だろうかそれともさらに別の女?)


 当時の華やかな生活が、見て取れるようだ。


 それと同時に。


 地位や富に恵まれ、数多くの女たちや家臣たちに囲まれても満たたされることのなかった、冬雅の孤独までも圭介は感じたのだった。


 「吉野くん、ここにいらしたんですね」


 来客との会合を終えたようで、オタク男が圭介の元に駆け寄ってきた。


 クラスで一番地味だった歴史オタクと、クラスで一番派手だった運動部のエース。


 立ち位置が対照的で、全く親しくなれそうなポイントなどなさそうだったが。


 福山の問題を機に話をする機会が増え、卒業後もこうして交流が続いているのだから分からないものだ。