四百年の恋

 「月ー!」


 姫の名を呼ぶ冬雅の声は、岩肌に押し寄せた波に打ち消され、もはや姫の耳には届かなかった。


 そして何事もなかったかのように、波は果てしなく岩肌を削り続けた。


 花びらは、海の中へと消えていった。


 ……。