初秋。
夜明けがだいぶ遅くなってきた。
冬雅は深い眠りに落ち、これまで目にしたことがないくらいに安らかな寝顔を見せている。
夜明け前。
姫は異常に目が冴えた。
冬雅を起こさないように床を抜け出し、白い寝間着を羽織る。
恐る恐る障子を開けて、廊下に出た。
当然、冬雅小姓たちが少し離れた所で、護衛のために待機している。
「月の御方さま、おはようございます。どちらへ?」
「おはようございます。ちょっと温泉に浸かって来ます」
「かしこまりました」
若い小姓は頷いた。
「殿はまだ、よく眠られておいでです。起こさないようにお願いします」
「承知しました」
姫は歩き去った。
行き先は、温泉などではなく……。
夜明けがだいぶ遅くなってきた。
冬雅は深い眠りに落ち、これまで目にしたことがないくらいに安らかな寝顔を見せている。
夜明け前。
姫は異常に目が冴えた。
冬雅を起こさないように床を抜け出し、白い寝間着を羽織る。
恐る恐る障子を開けて、廊下に出た。
当然、冬雅小姓たちが少し離れた所で、護衛のために待機している。
「月の御方さま、おはようございます。どちらへ?」
「おはようございます。ちょっと温泉に浸かって来ます」
「かしこまりました」
若い小姓は頷いた。
「殿はまだ、よく眠られておいでです。起こさないようにお願いします」
「承知しました」
姫は歩き去った。
行き先は、温泉などではなく……。



