「……幼い頃より次期当主としての教育を受け、この上なく高慢に育っていた私は」
その頃の冬雅は、何もかもが定められた自分の生き方に嫌気がさしていたという。
自由に生きられないことに対する息苦しさと、居心地の悪さ。
それのぶつけどころを見つけられず、自分にひれ伏すしかできない弱者を見下し、いじめるようなことをして、憂さ晴らしをしていたと告白した。
そんな冬雅の数少ない息抜きの一つが、狩。
その日も取り巻きたちを引き連れ、城の近くの野原や森を駆け回っていた。
すると立派な角を持った鹿が。
仕留めようと追いかけ、先回りをして弓矢を構えると。
そこには可憐な娘がいた。
「鹿が娘に化けたか」
たまたま山菜採りに来ていた、若い娘だった。
冬雅はたちまちその娘を気に入り、自分のものにしたのはそれから間もなくだった。
身分と地位をちらつかせれば、娘もその親たちも逆らう術はなかった。
冬雅はその村娘との関係を内密にしていた。
何しろ先代の命令で、京の公家の姫との縁談が進んでいたから。
「身分の高い正室を迎える前に、どこの馬の骨とも知れぬ娘との関係が公になれば、縁談にも差し支えがあっただろう」
村娘の身分では格差がありすぎて、次期当主の側室にすら迎えることはできない。
どんなに気に入っても、公にはできない。
加えてその頃の冬雅は、やがて当主になった時のための教育、人の上に立つ者としての心構えしか教えられていなかった。
ゆえに好きな娘への愛情表現の仕方も解らず。
傷付け、奪うことでしか愛情を示せなかったという。
そばにいてほしいことをどうやって伝えればいいか、それすら解らずに……。
その頃の冬雅は、何もかもが定められた自分の生き方に嫌気がさしていたという。
自由に生きられないことに対する息苦しさと、居心地の悪さ。
それのぶつけどころを見つけられず、自分にひれ伏すしかできない弱者を見下し、いじめるようなことをして、憂さ晴らしをしていたと告白した。
そんな冬雅の数少ない息抜きの一つが、狩。
その日も取り巻きたちを引き連れ、城の近くの野原や森を駆け回っていた。
すると立派な角を持った鹿が。
仕留めようと追いかけ、先回りをして弓矢を構えると。
そこには可憐な娘がいた。
「鹿が娘に化けたか」
たまたま山菜採りに来ていた、若い娘だった。
冬雅はたちまちその娘を気に入り、自分のものにしたのはそれから間もなくだった。
身分と地位をちらつかせれば、娘もその親たちも逆らう術はなかった。
冬雅はその村娘との関係を内密にしていた。
何しろ先代の命令で、京の公家の姫との縁談が進んでいたから。
「身分の高い正室を迎える前に、どこの馬の骨とも知れぬ娘との関係が公になれば、縁談にも差し支えがあっただろう」
村娘の身分では格差がありすぎて、次期当主の側室にすら迎えることはできない。
どんなに気に入っても、公にはできない。
加えてその頃の冬雅は、やがて当主になった時のための教育、人の上に立つ者としての心構えしか教えられていなかった。
ゆえに好きな娘への愛情表現の仕方も解らず。
傷付け、奪うことでしか愛情を示せなかったという。
そばにいてほしいことをどうやって伝えればいいか、それすら解らずに……。



