四百年の恋

 「そなたの言葉には、一々棘がある」


 冬雅はそっと笑い、月姫の手に触れた。


 「私のことを、目的のためには手段を選ばぬ非情な男とみなしているのであろう」


 「……」


 「どう思われようと構わないが。だが真実を見てもらえず、誤解されたままなのは、やはり切ない」


 冬雅は姫を引き寄せる。


 「あ、すみません」


 姫は冬雅から体を離した。


 姫は無意識のうちにお腹をかばっていた。


 「いかがした?」


 勘付かれたかと思い、姫は心配になった。


 「あ、あの……。殿にお会いするのは久しぶりですので緊張して……」


 とっさに嘘をついた。


 「いつも通り、身を任せているだけでいい」


 背中に腕が回り込んで来て、肌に夜風が触れる。


 ……。


 「心を手に入れられず、寂しくは思うのだが」


 冬雅は唇を重ねながらつぶやいた。


 「その体だけでもこの腕の中に捕まえておけるのなら、それでもいいと思っていた」


 姫は冬雅の腕の中。


 「何もかも欲しいと願うのは、贅沢なのだろうか」


 「いえ……」


 「いや、私にはそんなこと願う資格はないのかもしれない」


 「……?」


 「昔、そなたに瓜二つな娘がいた」


 「!」


 (もしかして、悲恋に終わったという初恋の村娘のこと?)


 姫の体がびくっとしたことに冬雅は気がついた。