「綺麗な石を、多数貢物として受け取った」
冬雅は箱を開いてみせた。
「こちらは金塊だ。これがあればそなたに、たくさんの贈り物が可能だ。ほしい物があれば言ってみろ」
「何もありません」
姫は即答した。
どんな宝物よりも姫が望むのは、冬悟を返してほしいということ。
(それが不可能ならば……)
「何もない、か」
冬雅は苦笑した。
「どれほどの贈り物をすれば、そなたの心を手に入れることができるのだろうか」
「私は、」
「もしも私が天下をこの手に掴めば、そなたは私を愛してくれるか」
「天下なんて、今さら」
「世はまた乱世へと向かっている」
冬雅は語り始めた。
「我々福山家の当主は三代を経て、ようやくこの地の支配者としての地位を確立した」
冬雅は福山家の第三代当主。
「だが、どんなにこの地が栄えても、中央の者たちは我々のことを、辺境の支配者くらいにしかみなしてくれない。見下されてもいる」
京の人々からすると、確かにこの蝦夷地ははるか北方の辺境の地にすぎない。
「私はこの福山家の名声を、全国に響き渡らせたい。この地に京の都並みの繁栄をもたらしたい。そのためには少々無理でもせねば」
「犠牲を払っても、構わないということですか?」
「ん?」
「福山家の発展のためになら、何かを犠牲にしても構わないと?」
冬雅は箱を開いてみせた。
「こちらは金塊だ。これがあればそなたに、たくさんの贈り物が可能だ。ほしい物があれば言ってみろ」
「何もありません」
姫は即答した。
どんな宝物よりも姫が望むのは、冬悟を返してほしいということ。
(それが不可能ならば……)
「何もない、か」
冬雅は苦笑した。
「どれほどの贈り物をすれば、そなたの心を手に入れることができるのだろうか」
「私は、」
「もしも私が天下をこの手に掴めば、そなたは私を愛してくれるか」
「天下なんて、今さら」
「世はまた乱世へと向かっている」
冬雅は語り始めた。
「我々福山家の当主は三代を経て、ようやくこの地の支配者としての地位を確立した」
冬雅は福山家の第三代当主。
「だが、どんなにこの地が栄えても、中央の者たちは我々のことを、辺境の支配者くらいにしかみなしてくれない。見下されてもいる」
京の人々からすると、確かにこの蝦夷地ははるか北方の辺境の地にすぎない。
「私はこの福山家の名声を、全国に響き渡らせたい。この地に京の都並みの繁栄をもたらしたい。そのためには少々無理でもせねば」
「犠牲を払っても、構わないということですか?」
「ん?」
「福山家の発展のためになら、何かを犠牲にしても構わないと?」



