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時が流れるにつれて、冬悟処刑の際に月姫が流した涙は、徐々に忘れ去られ。
(私は殿の寵愛を得るために冬悟さまを見捨てた、強欲で無慈悲な女だと噂されるようになっていた)
他人にどう思われようと構わない、真実は一つだけ。
そう胸に誓っても、日々中傷に晒されるのはつらかった。
人の中傷よりも、さらにつらかったのは。
(もはやこの世に、私を心から愛してくれる人はいないという心細さ。殿に私は、ただの代用品としかみなされていなかった……)
それがとても虚しかった。
その年の夏は、天候が不順だった。
連日じめじめした、曇りがちな日々。
時に激しい雨が大地を叩く。
(本州の梅雨も、こんな感じなのだろうか)
太陽の光を浴びて農作物がすくすく育つこの時期に、日照不足に見舞われていた。
そんな気候も手伝ってか、姫は風邪をこじらせて寝込んでしまった。
肺炎になってしまったようだ。
「姫さま、お薬を」
侍女が床に伏す姫の枕元に近づいた。
「苦いし飲みたくない」
「殿が高名な医師に直々に調合させた、高価なお薬にございます」
時が流れるにつれて、冬悟処刑の際に月姫が流した涙は、徐々に忘れ去られ。
(私は殿の寵愛を得るために冬悟さまを見捨てた、強欲で無慈悲な女だと噂されるようになっていた)
他人にどう思われようと構わない、真実は一つだけ。
そう胸に誓っても、日々中傷に晒されるのはつらかった。
人の中傷よりも、さらにつらかったのは。
(もはやこの世に、私を心から愛してくれる人はいないという心細さ。殿に私は、ただの代用品としかみなされていなかった……)
それがとても虚しかった。
その年の夏は、天候が不順だった。
連日じめじめした、曇りがちな日々。
時に激しい雨が大地を叩く。
(本州の梅雨も、こんな感じなのだろうか)
太陽の光を浴びて農作物がすくすく育つこの時期に、日照不足に見舞われていた。
そんな気候も手伝ってか、姫は風邪をこじらせて寝込んでしまった。
肺炎になってしまったようだ。
「姫さま、お薬を」
侍女が床に伏す姫の枕元に近づいた。
「苦いし飲みたくない」
「殿が高名な医師に直々に調合させた、高価なお薬にございます」



