四百年の恋

 次の夜も、姫の元に冬雅はやって来た。


 前夜とは違い堂々と正門から訪問し、姫の部屋に上がり、少しばかり酒を酌み交わし。


 「今日は、抵抗しないのか」


 そして冬雅は、姫を求める。


 「私が逃れられぬよう外堀をお埋めになったのは、どこのどなたですか」


 投げやりな口調で姫は言い返した。


 「確かに。そなたを捕まえておくためには、手段を選ばないかもしれない。騙し討ちにしてでも落城させてしまいたい女だ」


 冬雅は苦笑した。


 「卑怯な方。それと同じ手法で、冬悟さまを追い詰めたのですね」


 姫の襦袢が紐解かれる。


 「城の内外の者が皆、私を非難がましい目で見ている。そなたを手に入れんがためになぜ、そこまでの犠牲を払えたものか……」


 体が重なる。


 「弟殺しの汚名を着せられてもなお、私はそなたを求めてやまない」


 昨日の強引なやり方とは対照的に、この夜は優しく抱かれた。


 それでも姫の気持ちは陰鬱な冬の空のようだった。