四百年の恋

 ……。


 「おやめください……!」


 姫は冷えた布団の上、体を押さえつけられた。


 抵抗しても、力ではかなわない。


 逃げ出したところで、逃げ場所はない。


 しかし冬雅の手が姫の寝間着の紐を外そうとした時、最後の抵抗を試みた。 


 「冬悟の時よりも、幸せにするから」


 「ありえません……」


 「そなたが幸せになれば、明石の実家や安藤たちも幸せになれるんだ」


 「!」


 それは、遠回しな脅迫。


 冬悟は明石の父や安藤の叔父にも、謀反を呼びかける書状を送ろうとしていた。


 謀反が未然に防がれたゆえ、一方的に名前を出されただけとして父も叔父も罪を免れた。


 しかし。


 (それはあくまで、殿の気分次第。気まぐれで前言撤回するくらい、容易なこと……)


 「大切にするから……」


 冷たい手が、姫の肌をなぞる。


 (どうしてこんなことに……!)


 救いのない絶望の中、姫は全てをあきらめて目を閉じた。