「待て」
姫は冬雅の手をすり抜け、廊下へと飛び出し、冬雅の手の届かない場所へと逃げていこうと思った。
「あっ!」
廊下の角を曲がったところで、誰かにぶつかった。
「姫さま?」
たまたま通りかかった若い侍女だった。
「お願い、助けて!」
「姫さま、どうなさったのですか?」
「どこか隠れるところあったら教えて!」
「えっ?」
侍女は混乱していた。
「お願い、早く!」
そこで姫は冬雅に追いつかれてしまった。
「その必要はない」
「くせ者!?」
侍女は冬雅の顔を知らない。
その男は急に現れた不審な男だと思い込んだようだ。
姫をかばうような体勢で冬雅に向き合った。
「何者です! 姫さまに何を!」
「……我が名は、福山冬雅」
「えっ、福山……」
侍女は姫と冬雅の顔を交互に見つめた。
「私はこの国の誰もに命令できる立場にある人間だ。……姫を渡せ」
侍女にやんわりと圧力をかけた。
「い、いやです私は、戻りません……」
姫は侍女の背中越しに、冬雅に対抗したものの。
「姫さま、お許しください……」
侍女は姫を防御するのをやめた。
姫と冬雅の間には何の障壁もなくなり、そのままあっさりと捕えられた。
「……」
一瞬姫は侍女をひどく恨んだ。
だが仕方のないことだろう。
安藤家の侍女にすぎない彼女が、一国の支配者に逆らうことなどできない。
「朝まで誰も姫の部屋に入らぬよう、上役にも伝えておくんだ」
「はい……」
侍女はうつむきながら答えた。
姫は部屋へと連れ戻された。
(この世に私を救ってくれる人など、誰もいない)
絶望に満ちた思いを抱えながら。
姫は冬雅の手をすり抜け、廊下へと飛び出し、冬雅の手の届かない場所へと逃げていこうと思った。
「あっ!」
廊下の角を曲がったところで、誰かにぶつかった。
「姫さま?」
たまたま通りかかった若い侍女だった。
「お願い、助けて!」
「姫さま、どうなさったのですか?」
「どこか隠れるところあったら教えて!」
「えっ?」
侍女は混乱していた。
「お願い、早く!」
そこで姫は冬雅に追いつかれてしまった。
「その必要はない」
「くせ者!?」
侍女は冬雅の顔を知らない。
その男は急に現れた不審な男だと思い込んだようだ。
姫をかばうような体勢で冬雅に向き合った。
「何者です! 姫さまに何を!」
「……我が名は、福山冬雅」
「えっ、福山……」
侍女は姫と冬雅の顔を交互に見つめた。
「私はこの国の誰もに命令できる立場にある人間だ。……姫を渡せ」
侍女にやんわりと圧力をかけた。
「い、いやです私は、戻りません……」
姫は侍女の背中越しに、冬雅に対抗したものの。
「姫さま、お許しください……」
侍女は姫を防御するのをやめた。
姫と冬雅の間には何の障壁もなくなり、そのままあっさりと捕えられた。
「……」
一瞬姫は侍女をひどく恨んだ。
だが仕方のないことだろう。
安藤家の侍女にすぎない彼女が、一国の支配者に逆らうことなどできない。
「朝まで誰も姫の部屋に入らぬよう、上役にも伝えておくんだ」
「はい……」
侍女はうつむきながら答えた。
姫は部屋へと連れ戻された。
(この世に私を救ってくれる人など、誰もいない)
絶望に満ちた思いを抱えながら。



