四百年の恋

 翌年の春。


 福山冬悟の法要が、大々的に執り行われることとなった。


 月姫の城にも、当主・福山冬雅からの招待状が。


 (冬悟さまの墓前で、祈りを捧げたい。しかし冬悟さまの葬儀が終わった後、私は殿の元に輿入れしなければならない……)


 そんなことになるくらいなら、いっそ死んでしまいと姫は願った。


 (なのに殿が、突然の火事で全焼した兄の城の再建に援助してくれたり。父の領地の、不漁で頭を悩ませていた漁民たちの救済計画をたててくれたり。私の周囲の者たちは、次々と殿に取り込まれている)


 姫は外堀を埋められたような状態となり、婚姻は避けられない事態に追い込まれていた。


 「お前には色々思うところがあるだろうが。耐えてくれるか」


 「……」


 両親とも無理強いはしなかったが、姫に残された道はなかった。


 二度目の、福山城への長い旅路。


 (今回は両親も同行するので、心細くはないけれど。冬悟さまのいない福山城は、桜が全て枯れ果てたも同然の、色を失った世界だ……)


 姫はうつむいたまま、輿に揺られ続けた。


 胸に去来するのはちょうど一年前の、冬悟との婚約に浮かれていた日々。


 桜の舞い散る庭園ではしゃぎ回り、そして永久の愛の誓い。


 (その誓いのままに、生涯を共にできるのだと信じていた……)