四百年の恋

 「姫さま、また福山の殿からお届けものが」


 「……」


 騒動が一段落した後、姫は実家である明石の城に戻っていた。


 先日実家を旅立った時は、間もなく冬悟へ嫁ぐ喜びに満ちていた。


 それが今……。


 冬悟はもうこの世にいない。


 別人のような暗い表情で戻ってきた姫を、両親は戸惑いながらも暖かく受け入れてくれた。


 姫は死ぬこともできず、生き続けている。


 姫が実家に戻ってすぐに、福山冬雅から贈り物が届けられた。


 その後もほとんど日を置かず、次々と。


 (私の機嫌を取るために?)


 「ほんとうに、いつもいつも……」


 侍女たちも、送られてくる品々の豪華さにため息をつく。


 「いつも通り、片付けておいて」


 「ご覧にならないのですか?」


 「私には必要のないものです」


 「分かりました」


 いただきものは全て、そのままで空き部屋に山積みされている。


 どんなに金銀財宝を積まれても、姫の心が晴れることはない。


 (冬悟さまにお会いしたい)


 ただそれだけが願いだった。