……すでに染井吉野系の桜は散ってしまっていたが、濃い桃色の八重桜が一足遅れて満開を迎え、散り始めた季節だった。


 血に染まったような花びらが、散りゆくのに合わせて。


 河原の刑場で切腹に処せられ、福山冬悟は短い生涯を閉じた。


 福山家当主・福山冬雅の弟。


 次期当主との呼び声も高かったのに、焦って謀反を起こそうとしたとの罪状で。