「姫、待ちなさい」
叔父が姫を止めた。
「我ら重臣たちでも、冬悟さまのいる牢には近づけぬ状態だ。お前にもどうすることもできぬ」
「このままでは死を待つしか……。冬悟さまをお救いできるのは、もはやこの私だけ……」
突然涙が流れ始めた。
「冬悟さまをこのまま失うようなことがあれば、私は……」
それ以上は言葉にならなかった。
「冬悟さまは殿の後継者と一度は定められた身。殿も容易に冬悟さまを死罪になどできないだろう。明日の裁判の行方を見守るんだ。私もできる限り助命嘆願する。信じて待つんだ」
「……」
結局のところ今の姫には、黙って祈ることしかできなかった。
(冬悟さまが処刑だなんて、あってはならぬこと)
冬悟が処刑だなんて、考えたくもなかった。
どうしてこんなことになってしまったのか。
少し前まで姫は、冬悟に嫁ぐ日を指折り待っている立場だった。
それが……。
婚約の旨を告げる席での、冬雅の予想外の一言。
自身の娘と冬悟を結婚させて、跡を継がせる代償として。
(私には、殿の側室になれ、と……)
姫は絶対に嫌だった。
結ばれないくらいならば、死んでも構わないとさえ思いつめた。
(だからといってまさか冬悟さまが、殿に謀反の心を抱くだなんて)
想定外だった。
(私を奪われた恨みに、おそらく赤江が火をつけたのだろうけど)
「絶対に嫌……」
側室だなんて、もってのほかだった。
(冬悟さま以外の男に、触れられたくはない。だけど冬悟さまを救うためならば)
姫は覚悟を決めた。
(汚れてもいい。冬悟さまを救うことができるならば……)
叔父が姫を止めた。
「我ら重臣たちでも、冬悟さまのいる牢には近づけぬ状態だ。お前にもどうすることもできぬ」
「このままでは死を待つしか……。冬悟さまをお救いできるのは、もはやこの私だけ……」
突然涙が流れ始めた。
「冬悟さまをこのまま失うようなことがあれば、私は……」
それ以上は言葉にならなかった。
「冬悟さまは殿の後継者と一度は定められた身。殿も容易に冬悟さまを死罪になどできないだろう。明日の裁判の行方を見守るんだ。私もできる限り助命嘆願する。信じて待つんだ」
「……」
結局のところ今の姫には、黙って祈ることしかできなかった。
(冬悟さまが処刑だなんて、あってはならぬこと)
冬悟が処刑だなんて、考えたくもなかった。
どうしてこんなことになってしまったのか。
少し前まで姫は、冬悟に嫁ぐ日を指折り待っている立場だった。
それが……。
婚約の旨を告げる席での、冬雅の予想外の一言。
自身の娘と冬悟を結婚させて、跡を継がせる代償として。
(私には、殿の側室になれ、と……)
姫は絶対に嫌だった。
結ばれないくらいならば、死んでも構わないとさえ思いつめた。
(だからといってまさか冬悟さまが、殿に謀反の心を抱くだなんて)
想定外だった。
(私を奪われた恨みに、おそらく赤江が火をつけたのだろうけど)
「絶対に嫌……」
側室だなんて、もってのほかだった。
(冬悟さま以外の男に、触れられたくはない。だけど冬悟さまを救うためならば)
姫は覚悟を決めた。
(汚れてもいい。冬悟さまを救うことができるならば……)



