「……」
愛する月姫の実家である明石家宛の書状をしたためている時、冬悟はとりわけ緊張したようだ。
自分がこれからしでかそうとしていることの大きさを、改めて感じていたのかもしれない。
万が一失敗した時の不安も頭をよぎる……。
作戦決行後、冬雅の反撃などに遭い失敗に終わったら、自分が死罪になるのは仕方ない。
だが巻き込まれる人も出てくる。
(月光姫……)
この計画の最大の動機は、冬雅に奪われた姫を取り戻すこと。
計画が失敗したら、姫に会うことはもはや叶わなくなるどころか、永遠に手の届かない場所へと去っていかなければならない。
(黙っていれば月光姫は、このまま兄の側室になってしまうだけだ。指をくわえて見ているしかできないよりは、いっそ……)
冬悟は決意を新たにし、父宛の書状を自らの印で締めた。
ガタン!
その時突然急に後ろで大きな音がして、冬悟はびくっとした。
振り返ると、冬悟の刀が置かれていた台が急に足が折れてしまい、刀が畳の上に転がり落ちていた。
「やれやれ、縁起でもない」
赤江は苦笑しながら、刀を拾い上げ、別の台に置いた。
「赤江。私は本当に許されるのだろうか」
「何がですか」
「領民のため、福山家のためと正当化しても、所詮はこれは謀反であろう」
「確かに謀反ではありますが」
「こんな私に、民は味方するのだろうか。天の加護は得られるのだろうか」
「急に弱気になりましたな」
赤江は苦笑した。
愛する月姫の実家である明石家宛の書状をしたためている時、冬悟はとりわけ緊張したようだ。
自分がこれからしでかそうとしていることの大きさを、改めて感じていたのかもしれない。
万が一失敗した時の不安も頭をよぎる……。
作戦決行後、冬雅の反撃などに遭い失敗に終わったら、自分が死罪になるのは仕方ない。
だが巻き込まれる人も出てくる。
(月光姫……)
この計画の最大の動機は、冬雅に奪われた姫を取り戻すこと。
計画が失敗したら、姫に会うことはもはや叶わなくなるどころか、永遠に手の届かない場所へと去っていかなければならない。
(黙っていれば月光姫は、このまま兄の側室になってしまうだけだ。指をくわえて見ているしかできないよりは、いっそ……)
冬悟は決意を新たにし、父宛の書状を自らの印で締めた。
ガタン!
その時突然急に後ろで大きな音がして、冬悟はびくっとした。
振り返ると、冬悟の刀が置かれていた台が急に足が折れてしまい、刀が畳の上に転がり落ちていた。
「やれやれ、縁起でもない」
赤江は苦笑しながら、刀を拾い上げ、別の台に置いた。
「赤江。私は本当に許されるのだろうか」
「何がですか」
「領民のため、福山家のためと正当化しても、所詮はこれは謀反であろう」
「確かに謀反ではありますが」
「こんな私に、民は味方するのだろうか。天の加護は得られるのだろうか」
「急に弱気になりましたな」
赤江は苦笑した。



