四百年の恋

 福山冬雅は、新しい物好きで派手好き。


 京の都から、最新の流行の品々を惜しみなく取り寄せる。


 そして福山家の威光を高めるために。


 領土の周辺地域に、高圧的な態度で臨むこともしばしば。


 土着のアイヌ民族とのもめごとも続き、一触即発の事態を招くことも。


 それゆえ国境線付近に、防御のための柵や土塁、物見やぐらなどの建設が続き、兵士を常駐させておく必要もある。


 予算の中の軍事費の割合が、年々上昇。


 今のところは先代までが蓄えた財産で、赤字の穴埋めができているようなのだが……。


 「……兄上、いや殿にも、お考えがあってのことだから」


 冬悟も冬雅のその政策には、当然疑問を持っている。


 とはいえ迂闊に家臣に対し冬雅への不満をこぼしては、福山家内に悪影響を及ぼす。


 それをわきまえている冬悟は自嘲して、赤江の言葉にも冷静に対応した。


 「私は冬悟さまこそが、君主に相応しい器であると考えております」


 別れ際。


 赤江ははっきりと冬悟にそう告げた。


 「何か困ったことがありましたら、必ずこの赤江、相談に乗らせていただきます」


 とも。


 「分かった。よろしく頼む」


 この日は冬悟は終始、冷静な態度を貫くことができていた。