四百年の恋

 「真姫?」


 ふと見ると真姫は、窓から外をぼーっと眺めていた。


 (月光姫も、ここから景色を眺めていた可能性がある。最愛の冬悟のそばに立って? それとも・・・憎むべき冬雅に連れられて・・・?)


 「何か気になることでも?」


 圭介が恐る恐る尋ねると、


 「ん……。ここからだったら海も見えるから。……景色の全てが綺麗で」


 (姫、見るがいい。ここから見える景色全てが、私の手中にある)


 冬雅は勝ち誇った表情で、月光姫に自らの権力をひけらかしていたのだろうか。


 圭介には目に浮かぶようだ。


 ……。


 「さ、行くぞ」


 いつまでも窓の外をぼんやりと眺め続ける真姫が心配で、退出を促す。


 触れた真姫の肩は、ひんやりと冷たかった。


 「あ、ごめんなさい。ぼんやりしていて」


 ようやく真姫は歩き出した。


 それを確かめて、圭介も後に続いた。


 階段を降りて一階に戻り、場内の展示物の見学が始まる。


 圭介は緊張していた。


 展示物の中に、何か真姫の記憶を呼び覚ますものがありやしないかと。


 変に刺激を与えやしないかと。


 いつしか圭介は、真姫を月光姫と同一視して見つめるようになっていたのだ。