四百年の恋

 城門をくぐり抜け、一行は城の正面入り口にたどり着いた。


 観光客の入場を前提として改修されているため、土足で入城可能。


 ガイドの後ろを、一行はぞろぞろと進んだ。


 「すみません、写真撮影は可能ですか?」


 ガイドのすぐ後ろを歩いているオタク男が尋ねた。


 「一部の展示物は、劣化防止のため撮影禁止になっているものもありますが、建物などに関しては問題ありません」


 オタクはカメラであちこち撮影を始めた。


 圭介は緊張しながら、一歩一歩前に進んだ。


 (この廊下はかつて、福山冬悟も歩いていただろう)


 冬悟の気配が感じられるような気さえする。


 横の真姫に気を配りながら、圭介は城の内部へと向かって歩き続けた。


 城の内部の細かい見学は後回しにして、まず最初に天守閣へ上ることになった。


 (上の階に登る階段は、まるで忍者屋敷のはしごのようだな)


 「この城は戦国末期の築城ゆえ、万が一の篭城戦に備え、天守閣への敵の侵入を防ぐために、階段は急な造りとされたのです」


 昔の人は大変だったのだと、一行は改めて思い知らされた。


 やがて全員が、天守閣に到着。


 窓を開ければ、四方が見渡せる造りになっている。


 (ここに立てばまるで、殿様になったような気分。四方の世界をこの手に治めたような)


 圭介は深呼吸した。


 (福山冬雅もここに立ち、自分はこの地の支配者であるという自負心を再確認したのかな・・・)


 体の奥から湧き上がってくるような充実感を、圭介は感じていた。