四百年の恋

 「こちらへ続いてください」


 ガイドは老人で、地域のボランティアらしい。


 ついに圭介や真姫たち一行は、福山城の門をくぐった。


 「福山城は戦国時代に築城が開始された、北海道では数少ない城郭です」


 ガイドが歩きながら説明を開始。


 「当初は丘陵地帯から海を見おろすように建設された、要塞のような山城(やまじろ)でしたが、第三代当主・福山冬雅公の時代にほぼ現在の形となりました」


 (福山冬雅)


 圭介の頭の中で、その名前がエコーのように響き渡る。


 「冬雅公は戦国末期……安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、この地を治めた戦国大名です。福山家きっての名君として名高い殿様です」


 (その名君が、弟から婚約者を奪い。弟を自害させ、婚約者とその一族を死に追いやったというのだから……)


 まず福山城の周囲を歩きながら、一行は外観や城の特徴などの説明を受けた。


 あまり大きな城ではないが、四百年前から変わらず、ここに佇み続けている。


 「築城時より現存する数少ない城郭ですので、国の重要文化財に指定されています」


 北海道には明治以前の建造物はあまり存在しないため、この福山城は非常に重要な歴史的建造物だった。