それからの二人は、いつも一緒だった。


 大学でも、放課後も。


 そうしていないと、圭介は不安だったのもある。


 (愛しくてたまらないはずなのに。いつか失われてしまう日のことを、どうしても考えてしまう)


 愛すれば愛するほど、やがて離れゆく日を思い、不安に襲われる。


 その恐怖から逃れるために、どれだけ愛しているのか確かめ合う。


 そんな日々が続いた。


 「……じゃ、ここで」


 助手席の真姫が告げた。


 ベッドの温もりに別れを告げるのは名残惜しかったけど、寮の管理人にこれ以上目を付けられてはまずいので、ほどほどの時間に真姫を寮へと戻さなければいけなかった。


 「一緒に住めば、時間なんか気にしなくてもいいのにな」


 圭介は遠回しに誘ったのだけど、笑顔でかわされた。


 「また明日、というか六時間後ね」


 車を降りようとする真姫の肩を掴み、体を引き寄せて再びキス。


 軽く触れるだけのつもりが……歯止めが利かなくなる。


 キスが次第に深いものとなり、体を被せて助手席のシートを倒したくなりそう。


 「だめ。近所の人に見られるし、エンジン音も響いているから近所から苦情が……」


 真姫にストップをかけられた。


 「おやすみなさい」


 「ああ……」


 真姫は一人、寮の門をくぐっていった。