四百年の恋

 大学に入学して、たまたま学部も学科も一緒だったこともあり。


 講義やゼミが大部分同じで、学科ごとのイベントでも頻繁に顔を合わせていた二人。


 そんな日々の中圭介は、真姫のことは最初は、からかって面白い奴程度にしか考えていなかった。


 しかし一緒にいるうちに、その感情に徐々に変化が出てきた。


 真姫を独り占めしたい想いに気づきはじめていたものの、余計なことをして気まずくなりたくはないので、気持ちを抑えていた。


 だが福山の登場により、全てが変わってしまった。


 (誰にもなびかないと思っていた真姫が、あんなにもたやすく福山を想うようになるとは)


 自分以外の男のものになりそうになってはじめて、圭介は自分の押し殺した想いを抑え切れなくなり、あんな行動に出てしまった。


 その代償は大きく、圭介は体の自由を失ってしまった。


 (なのに紆余曲折を経て、真姫をこの腕の中に抱きしめることができるようになるとは)


 その日から、一日たりとも真姫と離れて過ごせなくなってしまった。


 すでに大学は冬休みを迎えている。


 手術からひと月半が経過し、毎日病院へとリハビリに通い、帰りに大学の部活に顔を出す。


 プレーはまだ無理なので、トレーニングついでに後輩の練習にアドバイスをする程度。


 その後真姫をバイト先まで迎えに行き、夕食に出かけたり、ドライブしたり。


 ようやく手にした、「恋人」という関係を満喫していた。