「なっ、名乗るほどの者ではありません。そういうあなたは?」
どう見てもこの貴公子のほうが身分が高そうなのだが、姫は意地を張って聞き返した。
「私は、月の世界からの使者」
「は?」
「この地上に降り、かぐや姫を探し回っていたんだ」
「……」
何て答えてよろしいのやら、姫は戸惑ってしまった。
その時だった。
「若様ー」
遠くのほうで老人の、人を探すような声がした。
「おっと、まずい」
貴公子は急に顔色が変わった。
「話の続きは、またいずれ」
「えっ、いずれっていつですか」
「またきっと、この宴の雑踏の中からお前を見つけてみせる」
「え……」
「それまでお前の仮の名前は、かぐや姫とでもしておこうか」
「かっ、かぐや!?」
私が上手く答えられないでいるうちに。
その貴公子は、木々の隙間から姿を消してしまった。
また先ほどまでのように、桜の花びらが静かに散りゆくだけだった。
どう見てもこの貴公子のほうが身分が高そうなのだが、姫は意地を張って聞き返した。
「私は、月の世界からの使者」
「は?」
「この地上に降り、かぐや姫を探し回っていたんだ」
「……」
何て答えてよろしいのやら、姫は戸惑ってしまった。
その時だった。
「若様ー」
遠くのほうで老人の、人を探すような声がした。
「おっと、まずい」
貴公子は急に顔色が変わった。
「話の続きは、またいずれ」
「えっ、いずれっていつですか」
「またきっと、この宴の雑踏の中からお前を見つけてみせる」
「え……」
「それまでお前の仮の名前は、かぐや姫とでもしておこうか」
「かっ、かぐや!?」
私が上手く答えられないでいるうちに。
その貴公子は、木々の隙間から姿を消してしまった。
また先ほどまでのように、桜の花びらが静かに散りゆくだけだった。



