すると、
「そのだんご、ネズミよけのために置かれていた、毒入りだんごだ。お前は間もなく苦しんで死ぬだろう」
「ええっ!」
貴公子の言葉に姫は混乱して、吐くべきか医師を呼ぶべきか考え、うろたえた。
顔を青くしたり赤くしたりして慌てている姫を見て、その貴公子は笑い始めた。
「冗談だ。それは単なるお供え物のだんご。昼のうちから置かれていたので、乾いて硬くなってしまっただけだ」
「お供え物……」
それを知って姫は、安堵すると同時に、たちの悪い冗談で私を死ぬほど驚かせた貴公子に怒りを感じた。
「悪ふざけにも、限度があります!」
そう言って姫は背を向け、立ち去ろうとしたのだけど。
「悪い悪い。桜の枝を手折る悪い花盗人かと思って、様子を窺いに来たんだ。すると花盗人ならぬ、前代未聞のだんご盗人だったとは」
貴公子は声を押し殺して笑っている。
本来ならば悪いのは自分のほうなので、姫も恥ずかしくなってきた。
「腹が減っていたのか?」
「……」
姫はうつむきながら、こくっと頷いた。
「無理もないな。宴では酒が中心で、食べ物が手薄だから」
「すみません。はしたないことをして」
姫は謝った。
「謝ることはない。それよりお前の名は?」
「そのだんご、ネズミよけのために置かれていた、毒入りだんごだ。お前は間もなく苦しんで死ぬだろう」
「ええっ!」
貴公子の言葉に姫は混乱して、吐くべきか医師を呼ぶべきか考え、うろたえた。
顔を青くしたり赤くしたりして慌てている姫を見て、その貴公子は笑い始めた。
「冗談だ。それは単なるお供え物のだんご。昼のうちから置かれていたので、乾いて硬くなってしまっただけだ」
「お供え物……」
それを知って姫は、安堵すると同時に、たちの悪い冗談で私を死ぬほど驚かせた貴公子に怒りを感じた。
「悪ふざけにも、限度があります!」
そう言って姫は背を向け、立ち去ろうとしたのだけど。
「悪い悪い。桜の枝を手折る悪い花盗人かと思って、様子を窺いに来たんだ。すると花盗人ならぬ、前代未聞のだんご盗人だったとは」
貴公子は声を押し殺して笑っている。
本来ならば悪いのは自分のほうなので、姫も恥ずかしくなってきた。
「腹が減っていたのか?」
「……」
姫はうつむきながら、こくっと頷いた。
「無理もないな。宴では酒が中心で、食べ物が手薄だから」
「すみません。はしたないことをして」
姫は謝った。
「謝ることはない。それよりお前の名は?」



