「綺麗……」
先ほど部屋の中から眺めていた、一番大きな桜の木。
姫は一人桜の木の下に立ち、降り注いでくる花びらに感動していた。
まるで雪。
でも雪みたいに冷たくはないし、溶けてもしまわない。
「おや?」
姫は桜の根元に置かれた皿に目を留めた。
招待客がここまで持ってきたのだろうか、だんごが残っている。
(美味しそう……)
空腹に耐えかねていた姫は、一口いただこうと企んだ。
周囲に誰もいないことを確認して、そっと近づき。
一つ、手に掴んで。
ぱくっ。
「うわっ」
失敗だった。
だんごはすでに乾燥して、硬くなっていた。
「ごほごほ……」
乾いただんごは残念ながら美味しいものではなく、姫は吐き出してしまった。
その時だった。
「どうした、毒入りだんごでも口にしたか」
姫は背後から男性に声をかけられた。
驚いて振り返ると……。
とても美しい、貴公子風の男性がそこに立っていた。
(しまった!)
よりによって盗み食いをしているところを、見られてしまったのだ。
おしとやかにしているように、父や叔父にも厳重に注意されていたのに。
(この人も宴の出席者らしいけど、顔立ちからして高貴で、身分の高そうな人。
田舎者はあさましいと、呆れられているに違いない。
まさに穴があったら入りたい気分だった。
先ほど部屋の中から眺めていた、一番大きな桜の木。
姫は一人桜の木の下に立ち、降り注いでくる花びらに感動していた。
まるで雪。
でも雪みたいに冷たくはないし、溶けてもしまわない。
「おや?」
姫は桜の根元に置かれた皿に目を留めた。
招待客がここまで持ってきたのだろうか、だんごが残っている。
(美味しそう……)
空腹に耐えかねていた姫は、一口いただこうと企んだ。
周囲に誰もいないことを確認して、そっと近づき。
一つ、手に掴んで。
ぱくっ。
「うわっ」
失敗だった。
だんごはすでに乾燥して、硬くなっていた。
「ごほごほ……」
乾いただんごは残念ながら美味しいものではなく、姫は吐き出してしまった。
その時だった。
「どうした、毒入りだんごでも口にしたか」
姫は背後から男性に声をかけられた。
驚いて振り返ると……。
とても美しい、貴公子風の男性がそこに立っていた。
(しまった!)
よりによって盗み食いをしているところを、見られてしまったのだ。
おしとやかにしているように、父や叔父にも厳重に注意されていたのに。
(この人も宴の出席者らしいけど、顔立ちからして高貴で、身分の高そうな人。
田舎者はあさましいと、呆れられているに違いない。
まさに穴があったら入りたい気分だった。



