実はあたしには、ある目的があった。
それは、この猫又の毛皮を狩り、村の有力者の息子である陽炎様に差し上げるということ。
あたしや小次郎の住んでいる村は、人里から遠く離れた山奥にある。知る人ぞ知る、忍の一族・岡崎一族の村だ。
つまり、あたしも小次郎も忍者ということ。
その村にときどき現れていたのが、この猫又だ。
畑の作物を荒らしたり、赤ん坊を連れ去って食料にしたりと、悪行を働いていた。
熟練の忍は他の仕事がある。
だから、若輩の忍たちは誰がこの猫又を仕留めるか、競い合っていた。
自分の腕を村の有力者たちに見せつけるために。忍の世は身分も重要だけど、実力がなければ評価されないから。



