くのいち初恋伝



わからないまま、陽炎様はあたしを家まで送り届けてくれた。

その背中を見送りながら、夕日に透ける銀髪に見とれてしまう。


「よーしっ、明日からもがんばろう! いつか陽炎様のお嫁さんにしてもらうんだ!」


こぶしを握るあたしに、小次郎がため息まじりに言う。


「しょうがないな。お前の気が済むまで、つきあってやるよ」


別に、そんなこと頼んでないけど。

小次郎が当たり前のように手を差し出すから、あたしはそれを握り返した。

その瞬間、ぐいと思わぬ力で引き寄せられる。

気づけば、小次郎の腕の中にいた。


「だからいつか……気づいてくれよな」


耳元でささやかれ、ドキリと胸が高鳴る。

そんなあたしの背中をぽんぽんとたたき、小次郎は手を離した。