そう言いながらあたしの脚絆を外し、取り出した薬を塗ってくれた。

あの気高い陽炎様が、こんなことを……!


ああ、もうケガなんか全然痛くない。

一瞬で治ったような気がする。


「ほら、つかまって。帰るよ」


そう言って、陽炎様はあたしを抱きあげる。

背中とひざ裏に手を入れられたあたしは、とっさに陽炎様の首にぎゅっとしがみついた。

心臓がドキドキと、忙しく動く。


なんて幸せなの!