「気絶させなきゃ。小次郎、吹き矢を」


小次郎は言われるままに、眠り薬を塗った吹き矢を放つ。

しかし、鵺に当たることはなかった。

鵺はその尾を動かし、それをなぎはらってしまったのだ。

そして、ふらりと立ちあがると、こちらをぎらりとにらみつける。


「や、やべ……逃げるぞ、槐!」


小次郎が言うが早いか、鵺は叫び声を上げた。


──キエエエエエ!!


さっきの風の音とはちがう、耳をつんざくような高い声。

恐怖で体がこわばってしまう。

その瞬間、空が突然真っ黒に染まった。