──ヒューウ、ヒューウ。


すきま風のような不気味な声が聞こえる方向を凝視するが、なにも見えない。


「と、鳥だろ、鳥……」


小次郎は懸命に、鳥の姿を探す。

あたしも頭上を見あげていると、ある木から細い枝が一本、落ちてきた。


「そこかっ!」


なにかがいる。

そう感じたあたしは、懐から取り出した手裏剣を木の上に投げた。

鳥ならビックリして、羽ばたいていくだろう。

そんな予想とは裏腹に、手裏剣を投げた方向から、ぶすりと鈍い音が聞こえてきた。