陽炎様が、あたしの名を呼んでくださった!
「かわいいだなんて! テレますう~」
「花の話だけど……まあいいや。槐、褒美になにがほしい? あとで届けさせるよ」
くすくすと笑いながら、陽炎様は言う。あたしはすぐさま、用意していた答えを差し出した。
「褒美はいりません。その代わり、あたしを陽炎様のお嫁さんにしてくださいっ!」
「……は?」
大声で叫んだあたしの顔を、陽炎様は見つめる。
驚いたようで、紫色の瞳が真ん丸になった。
ああ、そんなお顔も素敵。
「うーん……それはちょっと……」
困った様子の陽炎様。
そんなにたやすくいくとは、こっちだって思ってない。