「これは、最近村で悪さをしていた猫又だね。よく捕まえた」


「でしょう? えへへ」


「……けど、苦無とカギ爪の跡がついている。残念だけど、商売には使えないね。三味線にくらいにはできるだろうけど」


うっ……厳しいお言葉。

なにも言えなくなったあたしに、陽炎様は軽く微笑んで言った。


「まあ、お手柄には変わりないよ。俺から父に報告しておこう。ええと……」


「槐です!」


「槐、か。白くてかわいい花を咲かせる木の名だね」