「日本、戻るんでしょ。その子のために。」
私は、ずっと我慢していたものがセキを切ったように溢れ出た。
「あたしの知る限り、祐樹は最もサイテーなオトコね。」
「…………ゴメ…………フェル」
私は、止まらない涙をゴシゴシと腕で拭く。
「色気の無い泣き方ね。。そんなんだからダメなのよ。」
「うるさい。。。」
フェルは、ため息をついて
「ねえ、もしかしたら、時を遅くして祐樹はローマにフラっとやって来るかも知れないわよ。その時、あなたのことを聞かれたとする。」
「………………。」
「その子の事言っていいの? それとも、ずっと黙っているつもり?」
「言わないで。絶対。店の誰にもよ。」
「養育費ぐらい、ぶんどればイイのに。苦労性ね。」
「実際行方不明なんだし。そんなのアテになんかしていない。」
「ね、産まれたらさ、私、休暇とって日本に遊びに行くわ。この子の顔見に行くから絶対。祐樹の子だから絶対可愛いに違いないわね。」