「でも、いったいどうやって。。。」

「俺の手助けが必要なんなら、協力するよ。」

「お前、最近暇なの?」

「暇じゃねえよ。ただ単にオモシロイから。佑樹と遥ちゃんの組み合わせが。」

「ゲーム感覚で面白がられるなら断る。」

龍一は、軽くスマホを操作して電話をかける。

「ああ、遥ちゃん?額賀です。………………いやあ。そんなん礼はイイって。それより、お仕事の話なんだけど、イイかな? この間のプロデューサーさんと話しててさ、遥ちゃんってケイタリングとかもやってんだって?・・・・・・・うん。それでさあ、今度の俺の請け負うファッションショーの打ち上げパーティーのケイタリングおねがいできないかなと思って。 打ち合わせできる?
・・・・・・・・。うん。・・・・・・・うん。そうだね、いつ空いてる?今、どこにいるの?・・・・・・うん。俺? 今、自分のサロン。代官山にあるんだけど、そっち上がったら来れない? ・・・・・・うん。いいよ、1時間だけね。」

電話の向こうに遥がいる。
馴れ馴れしく話す龍一に腹が立ちながらも、俺は妙にソワソワして落ち着かない。

「来るって。次があるから1時間だけだけど。」
龍一は、ニヤっと笑う。

俺は唖然として、
「それって騙してんの?」

「え、仕事の話は本当だもん。彼女のケイタリング評判いいって聞いたからさ、お願いしようと思って。」

心づもりができてねえよ。俺は大きく息をつく。

「おもしろくなってきたなあ! 最初は仕事の話させてよね。それまではお前は、隣の部屋に隠れてろ。わかったな。」

「おまえ、おもしろがってるだろ。」
簡単に遥に電話して簡単にアポを取り付けた龍一にも嫉妬する。
でも、この後、ここに遥が来ると思うと胸が高鳴る。 俺は、なんて言えばいい。
遥に会ったら、なんて言えばいいんだ?