結局ちゃんと図書室にこれたのは、学校案内から一週間たった今日だった。

重い扉を押して中に入った。

やっぱり広い。

とりあえずいろんな棚を見ることにした。

「あっ。」

そこには私のお気に入りの作者、『YURI』の本があった。しかも最新作だ。

迷う余地なく私は本をとった。
『バウムクーヘン』。おいしそうな名前だ。

はやく読みたかったから席を探すことにした。

窓のほうに行くとテーブルと椅子があった。

ー窓際で、死角になっていて人があんまりこないようなところなんて、とても良い場所だ。

本を読もうとしたが、

「理科の課題できてないから、資料探さないと。」

こうして私は資料を探しに本を置いて棚へと戻った。

資料を手に入れた私は、席に戻った。

さっきまで私が座っていた席の隣に一人の男子が座っていた。

『バウムクーヘン』を読んでいる。

私は勇気をだして声を掛けてみる。


「あの、その本私が借りようと思ってたんだ。


ー谷宮君。」