「それと。俺、浮気なんてしてないからな?」
「…じゃあ、あの人は?」
「会社の同僚。…これ、選ぶの付き合ってもらってた。」
朔の手が私に向けられる。
手に乗っていたのは、小さな箱だった。
震える指で、そっと箱を開ける。
それと同時に、涙が溢れ出た。
「香子。俺と…結婚してください。」
「…っ。」
中から現れたのは、小さなダイヤのついた結婚指輪。
「俺、無口だし、香子に誤解させることも多いと思うけど、絶対大事にするから。だから…。」
「…はい。よろしくお願いします。」
にこって、それはもう人生で一番の笑顔だったと思う。

