もう一度、あなたと…

門前を流れる清らかな小川。カーブする参道。その先にある古い本殿。

まるでタイムスリップしたかのような感覚に襲われる。
この場所を訪れたのも、なんだか初めてじゃない気がする。

(誰かと来た…誰か…大切な人と…)

夢の中みたいに、記憶が霞んでる。思い出せそうで思い出せない…。

(…誰とだったっけ…?)

朱塗りされた社殿に見入ってる私を「ひかるの君」が呼んだ。

「エリカさん、参ろう! 」

穏やかな表情の彼を見る。この場面…どこかで見たような…。

(デジャブ…⁉︎ あまりにもハッキリしてる…)


賽銭箱の前に二人で並んだ。お賽銭を投げ入れたのは彼が先。
その後で、自分が投げ入れた。
妙なまでの一致感。

(何なのこれ……)


「エリカさん、これ握って」

紅白の紐を見せられた。恐々と手にする。
ガランガラン…!
神様を呼び起こす鈴の音が鳴り響いた。その途端、自分の記憶も蘇ったーーーー


「……!」

手も叩かずに彼を見た。
一心不乱に頭を下げる横顔を、まじまじと見つめた。

「…拝まないんですか?」

軽く頭を下げたままこっちを振り返る。その様子を思い出した。


「……ひかる…」

胸の奥から熱いものが込み上げてきて、私は思わず、彼の名前を呼んだーーーー




「……えっ…?」

目を点にして「ひかるの君」が固まる。
私にとっては現実みたいな夢だったけど、彼にとっては知りもしないこと……。

「…ううん、なんでもないの…ちょっと思い出した事があって…」

向き直って社殿の奥を見た。一番高い所に飾られた鏡。光を反射して、眩しい程に光ってる…。

パチパチ…と、あの時のように手を叩いた。
それから、深く頭を下げてお礼を言ったーーーー


(願いを叶えてくれて…ありがとうございます……)


隣にいる人と過ごした甘い時間。
たとえがそれが夢だったとしても、現実とどこか繋がってて欲しい…と願った。

(こんなふうに叶えてもらえるなんて思わなかった…ひかると一緒にここへ来られて…ホントに嬉しいです……)

連れ添った人が遠くに行って、一人ぼっちみたいな気がしてた。
でも、神様はこんな贈り物を用意してくれてた…。