ーーーシャワーの水音が止まった。
もたもた考え込んでる場合じゃない。
とにかく夢なら夢で目を覚まさないと…!
(あっ…そうだ!冷たい風でも浴びたら目が覚めるかも!)
窓辺に直行する。
ロックを外して窓を開けても、ほんの10センチ程度しか開かない窓からは、隙間風しか入ってこない。
「ダメじゃん、これじゃ…」
諦めて閉める。そこへ「たからがひかる」がやって来た。
「…浴びていいぞ」
白のバスローブ1枚で、濡れた髪を拭きながら出てくる。
タキシード姿なんかより色っぽい。
舞が見たら、キャーキャー言って燥ぐ様な展開だ。
「う…うん…じゃあ…」
そそくさと横をすり抜けてバスルームのドアを閉めた。
ドクドク…と、ものすごい速さで心臓が波打つ。
ただでさえイケメンな彼が、目の前にバスローブ1枚でいる。
それを考えただけでも、かなりのプレッシャーなのに、それを脱いだ後のことなんて、とても想像もできない…。
(……って言うか、考えちゃマズいでしょ…さすがに…)
バタバタ…と服を脱いでバスルームに入る。
温もりの残る室内では、微かにシャンプーの香りが漂っていた。
(ここで…「たからがひかる」がシャワーを浴びた…)
そんな風に考えるから、余計でもマズい。
こんな状況でいたらいけない。
絶対に、目を覚まさないと……!
意を決してシャワーを捻った。ゾクッとする様な冷たさに襲われる。
シャワー口から溢れる水を思いきりかぶれば覚めるかも…そう思って試してみた。
(お願い…お願いだから、目覚めて!!)
ぎゅっと手を握りしめて立ち竦む。
季節は初夏と言えども、水は冷たくて寒すぎる。
身体がどんどん冷えていく。
どんなに浴び続けても、夢はちっとも醒めてくれない。
(まさか…本当にこの世界がホンモノなの……⁉︎ )
力尽きるように座り込んだ。
容赦なく落ちてくる水を止める気力も無くなり、ぼんやりと思い起こしていた。
太一との…初めての夜を……。
大学三年の秋から付き合いだした私達が、初めて一緒の夜を迎えたのは、クリスマスイブだった。
最初は全くそんな雰囲気じゃなかった。
外でプレゼント交換をして、一緒に食事して、夜中からバイトへ行くと言う太一を見送りにバス停まで歩いていた。
『こんな日までバイト入れなくてもいいのに…』
呆れる私を気にせず太一が答える。
『こんな日だからいいんだ!バイト代も倍出るし!』
ぶっきら棒はいつものこと。そんな彼の態度が気に入らなかった。
『…太一君は、私よりもお金の方が大切みたいね…⁉︎ 』
ムッとして言ってしまった。
無言で怒る太一に、言葉をかけられなくなる。
お互い黙り込んで、黙々…とバス停に向かう。
行き交うカップルが楽しそうに見える。…それを羨ましく思った。
もたもた考え込んでる場合じゃない。
とにかく夢なら夢で目を覚まさないと…!
(あっ…そうだ!冷たい風でも浴びたら目が覚めるかも!)
窓辺に直行する。
ロックを外して窓を開けても、ほんの10センチ程度しか開かない窓からは、隙間風しか入ってこない。
「ダメじゃん、これじゃ…」
諦めて閉める。そこへ「たからがひかる」がやって来た。
「…浴びていいぞ」
白のバスローブ1枚で、濡れた髪を拭きながら出てくる。
タキシード姿なんかより色っぽい。
舞が見たら、キャーキャー言って燥ぐ様な展開だ。
「う…うん…じゃあ…」
そそくさと横をすり抜けてバスルームのドアを閉めた。
ドクドク…と、ものすごい速さで心臓が波打つ。
ただでさえイケメンな彼が、目の前にバスローブ1枚でいる。
それを考えただけでも、かなりのプレッシャーなのに、それを脱いだ後のことなんて、とても想像もできない…。
(……って言うか、考えちゃマズいでしょ…さすがに…)
バタバタ…と服を脱いでバスルームに入る。
温もりの残る室内では、微かにシャンプーの香りが漂っていた。
(ここで…「たからがひかる」がシャワーを浴びた…)
そんな風に考えるから、余計でもマズい。
こんな状況でいたらいけない。
絶対に、目を覚まさないと……!
意を決してシャワーを捻った。ゾクッとする様な冷たさに襲われる。
シャワー口から溢れる水を思いきりかぶれば覚めるかも…そう思って試してみた。
(お願い…お願いだから、目覚めて!!)
ぎゅっと手を握りしめて立ち竦む。
季節は初夏と言えども、水は冷たくて寒すぎる。
身体がどんどん冷えていく。
どんなに浴び続けても、夢はちっとも醒めてくれない。
(まさか…本当にこの世界がホンモノなの……⁉︎ )
力尽きるように座り込んだ。
容赦なく落ちてくる水を止める気力も無くなり、ぼんやりと思い起こしていた。
太一との…初めての夜を……。
大学三年の秋から付き合いだした私達が、初めて一緒の夜を迎えたのは、クリスマスイブだった。
最初は全くそんな雰囲気じゃなかった。
外でプレゼント交換をして、一緒に食事して、夜中からバイトへ行くと言う太一を見送りにバス停まで歩いていた。
『こんな日までバイト入れなくてもいいのに…』
呆れる私を気にせず太一が答える。
『こんな日だからいいんだ!バイト代も倍出るし!』
ぶっきら棒はいつものこと。そんな彼の態度が気に入らなかった。
『…太一君は、私よりもお金の方が大切みたいね…⁉︎ 』
ムッとして言ってしまった。
無言で怒る太一に、言葉をかけられなくなる。
お互い黙り込んで、黙々…とバス停に向かう。
行き交うカップルが楽しそうに見える。…それを羨ましく思った。

