イジワル王子の甘い嘘




直樹のひとことで、身体中の力が抜けていった。


確かに、教室の中からは“王子”って単語が聞こえてきた。

校内で“王子”と呼ばれているのは、俺ただひとり。


なんだよ。俺のせいで莉奈はこんな酷い目に遭ってたっていうのかよ。

俺が原因ってことかよ。




「……もしかしたら莉奈は、俺が知らない間もずっとこんな目に遭ってた?」



「俺もよく分かんないけど、もしかしたらその可能性もあるな」




直樹の返事を聞いて、あまりにも不甲斐ない自分に腹が立って、唇を噛んだ。


いつから?
なんで莉奈が?


心の中に浮かぶのは、“大切な幼なじみ”をこんな目に遭わせてしまっている、情けない自分の姿。


莉奈のことを守る、そう決心して同じ高校を選んだというのに、全然守れてねぇじゃん。俺は疫病神ってことかよ。




「俺、悔しいわ」



「愛斗……」



「あいつのことを守るために傍にいたつもりだったのに、何もしてやれてない……!!」




いつも「愛斗は彼女作らねぇの?」って直樹に尋ねられていた。その度に俺は、「莉奈がいるから」って断り続けていた。


そこで、ふと自分の感情に疑問を持った。


なんで俺は、あいつを守るために必死になってたんだっけ?


“幼なじみ”だから?

それとも相手が“莉奈”だったから?