イジワル王子の甘い嘘




彼女たちからは見えないであろう死角から、俺と直樹は様子を伺っていた。


女子生徒3人組はクスクスと笑いをこらえるように、空き教室の鍵に触れていた。


この旧棟は建物が古く、廊下から教室に鍵を掛けるしくみになっており、俺たち生徒でも簡単に鍵を掛けたり、開けたりすることが出来る。




「何してんだろうな」



「空き教室でペットでも飼ってるんじゃね?犬とか猫とか」




直樹は本当にそう思っているらしく、真剣に聞き耳をたてようとしていた。


だけどいくら耳を澄ましてみても、動物らしい鳴き声が聞こえてくることはなかった。




「絶対にペットなんて飼ってねえから」



「いーや、俺の勘だけど、あの中から何かの気配がするんだよ」



「直樹の野生の勘、すごすぎだろ」




俺たちが本来の目的を忘れてくだらないことで言い合っていると、ガチャリ、と鍵が開く音が耳に入った。


俺も直樹もその音に反応すると同時に会話を中断し、再び視線を女子生徒3人組に向ける。


すると、女子生徒3人組は少しだけ教室の中に足を踏み入れた。


そして、予想もしなかった展開が、俺たちを待っていた。




「調子はどう?

――若原さん」