イジワル王子の甘い嘘




そんな俺の気持ちに気付いているのか、気付かないふりをしているのか。

直樹はすぐさま話題を変えてくれた。




「そういえばさ、朝気付いたんだけど、ノート無くしちまったんだよな」



「元からノート持ってなかったんじゃ?」



「うわっ、愛斗酷い!!たぶん昨日の授業で無くしたんだと思うんだけど。昨日、移動教室で旧棟に行ったじゃん?」



「そういえば行ったな、旧棟」




この学校には、俺たちの教室がある新棟と、移動教室の際に使われている旧棟がある。


旧棟は普段あまり使われていないため、人通りも少ないような場所だ。




「明日から春休みだしノートないと課題出来ないから、昼飯食べ終わったら取りに行ってくるな」



「ていうか直樹、お前課題とか言うキャラなんだな。外見と違って案外真面目」



「愛斗は俺のこと、普段どんな感じで見てんの?」



「ただのうるさいヤンキー」



「本当に俺に対して冷たいのな、愛斗は」



「優しくするメリットが見当たらないだけだ」




うわーん、と泣きまねをする直樹を放って、俺は弁当を完食した。スマホを取り出して画面を見るが、莉奈からの返信はいまだにない。




「愛斗が俺にヒドイ罰として、旧棟に一緒に行って、俺のノート探してもらうからな!」



「最初からそのつもりだったんだろ」



「ばれた?」



直樹のこういうところがずる賢いなと感じながら、俺の残りの昼休みは旧棟に行くことが決定してしまった。